【新唐人2013年12月19日付ニュース】深刻なスモッグが発生した上海では、海外への移住を検討するエリートが増えています。一方、なすすべのない当局は、スモッグ警報を出す基準となる数値を上げることで、警報の回数を減らす愚策に出ました。
上海では、海外移住を考えるエリートが増えています。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」の取材では、中国への帰国を後悔した人や、海外移住を検討中の人、事務所を海外へ移そうと考えている人、休暇は子供を海外で過ごさせようと考える親がいました。
「ひどいスモッグで、自由に呼吸さえできず最悪だ」とエリートは不満を漏らします。
すると上海市当局はある行動に出ました。10日、「ブルームバーグ ニュース」が報道した内容によると、当局は、スモッグ警報を出す基準となる数値を上げました。以前は、PM(ピーエム)2.5が1立方メートル当たり75マイクログラムで警報を出していましたが、その数値を115マイクログラムにまで引き上げました。
上海港務局 退職職員 殷偉偉さん
「国民をだます愚策です。基準を低くすれば、警報を出す回数が減ります。ひどいスモッグでも、学校を休校にせず、工場も操業させると?ふざけています」
上海市民 許正清さん
「真相を隠すやり方です。政府は真相を伝えて、環境問題を含めた根本的な解決のため、対策を取るべきです」
アメリカの人工衛星、テラは12月7日、中国の東部がスモッグに覆われている画像を撮影しました。北京から上海まで1200キロに及びます。
画像が撮影された日、北京のアメリカ大使館と上海のアメリカ領事館では、PM2.5がそれぞれ、1立方メートル当たり480マイクログラムと355マイクログラムと測定されました。WHOの定める基準の25マイクログラムをはるかに超えています。
上海港務局 退職職員 殷偉偉さん
「2日前、眼前がぼやけて、太陽の色が薄れ、日差しも弱くなりました。遠くのビルが影のように見えました」
上海市民 許正清さん
「昼間でも暗くて、夜のようでした。ぼやけていて、2~3メートル先の人が見えません。交通事故を恐れて、車もスピードを出せません」
北京大学の研究によると、北京、上海などの大都市では、2012年、8500人が大気汚染のせいで死亡が早まったうえ、経済損失も60億元を超えました。
PM2.5は日々、中国人の健康をむしばんでいます。大都市では呼吸器の異常の発生率が明らかに高まり、4割以上の市民に疲労、めまい、動悸(どうき)、呼吸困難などが見られました。スモッグを一定期間、体内に吸い込めば、肺も黒く変色します。
健康問題を案じて、外出をできるだけ避けていると市民は話します。
上海市民 許正清さん
「呼吸器の症状が起きています。呼吸困難や気道のつらさ、のどの痛み、心臓の圧迫感などです」
上海港務局 退職職員 殷偉偉さん
「元々肺線維症だった従兄は、2日前10日以上入院しました。退職し70代ですが、大気汚染と関係あるでしょう」
アジア開発銀行のある研究によると、スモッグが中国にもたらす経済損失は、交通事故や病気で増える医療費だけで毎年、20兆元以上に達します。
http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/12/17/atext1025633.html(中国語)
(翻訳/河合 ナレーター/佐藤 映像編集/工)